頭痛
排卵日前後と生理前の
頭痛には注意が必要

  女性に多い片頭痛と緊張型頭痛

同じ頭痛でも痛みの特徴や対処法が全く異なります。
特に排卵日や生理前後に発生する月経関連頭痛の多くは片頭痛です。

      片頭痛    緊張型頭痛
発症誘因生理、人混み、特定の食品肩こり、過緊張、運動不足
痛む場所目 〜こめかみ(両側性も多い)後頭部〜首筋(頭全体)
痛み方ドックンドックン(拍動性)
体を動かすと悪化
ギュー(締め付け感)
体を動かすと軽減
痛みの程度重くて日常の行動が困難軽いので仕事や家事は可能
随伴症状嘔気、光/音/匂いに過敏肩こり、めまい、倦怠感
時間や頻度月に1〜数回で週末に多い
数時間〜2、3日間続く
ダラダラと毎日で夕方に多い
数時間〜数日続く
対処法とにかく冷やす
(入浴は逆効果)
とにかく温める
(入浴は効果的)
治療法トリプタン製剤
(市販薬はすべて無効)
消炎鎮痛剤、漢方薬
(市販薬は比較的有効)

この2つの頭痛の割合がどれくらいなのかを見極めるために
当院では頭痛の治療で初めて来院された方全員に
「 頭痛ダイアリー 」をお渡しし
1ヶ月間記録を付けていただいております。



q&a
Q よく片頭痛という 言葉を聞きますが普通の頭痛とは違うのでしょうか?

A 不定期に繰り返される慢性頭痛には、通常よく見られる緊張型頭痛、
女性に圧倒的に多い片頭痛、男性に多い群発頭痛に大別されます。
緊張型頭痛は同じ姿勢での長時間作業や疲労に伴う首筋の張り、
肩こりが原因で頭蓋骨周囲の筋肉が収縮して発生し、後頭部を中心に
ギューッと締め付けられるような痛みが特徴的で、夕方に多くみられます。
これに対して片頭痛は血管性の痛みです。ストレスが誘因で
脳の血管が拡張し、更に血管壁に炎症が起こって周囲の神経を
刺激することで強い痛みの発作が発生します。ドックンドックンと脈を打つ
激しい拍動性頭痛が特徴で、寝込んでしまうこともしばしばあります。
片頭痛は20〜40代の女性の皆様が大部分で、その原因としては
女性ホルモンであるエストロゲンの増減の影響が考えられています。
片頭痛も肩こりから始まることがあり、緊張型との混合型も存在するので、
この2つの区別は必ずしも簡単ではありませんが、両者の決定的な差は
片頭痛が体を動かすと痛みが増強するのに対して、緊張型頭痛では
あまり変化がない点であることを覚えておくと自己診断の目安になります。

Q 私は29歳の専業主婦です。数年前から月に1,2回激しい頭痛で寝込みます。
市販の頭痛薬も効かず不安です。何かよい治療法はありますか?

A じっとしていると少しは楽に感じ、動くと悪化する頭痛は片頭痛です。
多くの片頭痛にはその発作の前触れとも言うべき予兆、前兆があります。
よくある予兆としては、生あくび、過食、肩こり、うつ状態、全身倦怠感などで、
よくある前兆としては、吐き気、光過敏(眩しい。眼がチカチカする)、
音過敏(うるさく感じる)などです。頭痛発作が始まると、お辞儀で痛みを感じ、
痛みで後ろを振り向くことが辛くなり、特に階段昇降では激痛が走ります。
片頭痛に対しては市販されている頭痛薬は無効なので、これを疑った場合は
頭痛に詳しい医療機関で正しい診断を受け、処方してもらう必要があります。
片頭痛の特効薬であるトリプタン製剤は数種類あり、その効果は抜群ですが、
最大限の効果を得るには服薬のタイミングがとても重要で、前兆を感じたら
迷わず出来るだけ早めに内服することです。前兆がないタイプの方でも
頭痛が始まったごく早期の内服で痛みは軽くてすみます。逆に我慢しすぎて
ひどくなってから服薬した場合は効果は薄くなり、無効なことさえあります。
とにかく頭を振って響くような痛みが現れたらすかさず処方されたお薬を
服用してみてください。片頭痛であれば1〜2時間で頭痛が消失する筈です。

Q 私の頭痛は生理周期にほぼ一致しています。実は妊娠してから頭痛が減って
喜んでいましたが出産後にまた出てきました。これも片頭痛なのでしょうか?

A お尋ねの頭痛は片頭痛である可能性が非常に高いと思われます。
「自分は頭痛持ち」と自覚がある女性の皆様の約半数は頭痛発作が
月経に関連して起こる事が多いと回答している統計結果があります。
この頭痛を生理痛の一環、または月経前症候群の一部と思い込み、
我慢するしかないと考えている方が多いようですが、実はその頭痛は
片頭痛であることが多いのです。これを「月経関連片頭痛」と言います。
生理の時に起こる片頭痛は、それ以外の時と比べると痛みが強くて
持続時間も長いことが多く、薬の効果がやや悪い傾向があります。
このため生理の時は、前兆を感じたらいつも以上に早めに内服したり、
無理なことをせず仕事や家事は早く切り上げたりする工夫も必要です。
また妊娠中では初期のつわりの時期に一時的に増えることもありますが、
妊娠6ヶ月以降では大部分の方で片頭痛発作が軽減、消失します。
この理由としては妊娠中ではエストロゲン(女性ホルモン)量が多いまま
持続するためと考えられています。そして出産によりエストロゲン量が
減ることで、産後1ヶ月以内には約半数の方に再び片頭痛が現れます。
尚、妊娠/授乳中では安全性を考慮して特効薬であるトリプタン製剤は
使わず別のお薬で凌ぐことが多いのですが、絶対的禁止ではありません。

Q 片頭痛の感じ方は年代とともに変化していくものなのでしょうか?

A 片頭痛は20歳前後から始まることが多く、その後は年々痛みの程度が
徐々に強まる傾向にあります。その後のライフスタイルにもよりますが
30歳を越える頃になると重い頭痛に悩まされる女性が増え始めてきます。
そして40歳代になると、痛みの強さはやや軽くなる傾向にありますが、
発作回数が増えたり、1回の持続時間が長くなりがちになるようです。
また40歳以降の片頭痛は緊張型頭痛も混在することが多くなるため。
片頭痛らしさがはっきりしなくなってくるのも特徴的といえます。
ところがこの片頭痛は閉経をきっかけに一気に激減します。あれだけ
若い頃に片頭痛に悩まされていた方でも、やがて自然に消失します。
このことからも片頭痛はエストロゲンとの深い関わりがあると言えます。
この様に、片頭痛の感じ方は年齢とともにその姿を変えていきます。

Q 片頭痛発作を予防するための日常生活の注意点をお教えください。

A 片頭痛の多くは血管が拡張する状態の時に現れやすくなります。
例えば、緊張から開放された時には交感神経の作用が弱まるので
血管が拡張しやすくなり、就業後や週末に多いのはこのためです。
その他、血管拡張の誘発要因としては、アルコール、チョコレートなどの摂取、
低酸素状態(人込み、雑踏、狭い会議室やラッシュ時の通勤電車など)、
異常発汗(発熱、炎天下、急激な温度差など)、休日の寝すぎや空腹(低血糖)
などがあります。発作予防にはこれらをなるべく回避する工夫が必要ですが、
血管収縮作用のあるカフェイン飲料の摂取や夏季の水枕も予防効果があります。
また食事での予防として効果が認められているのはマグネシウム(海藻類)や
ビタミンB2(納豆、牛乳、レバーなど)で、欠かさないように心がけてください。

Q 私はかき氷を食べると必ず強い頭痛が出ます。心配ないでしょうか?

A アイスクリームやかき氷など、冷たい物を急いで食べると、こめかみや前頭部が
キーンと痛くなることがあります。この頭痛をアイスクリーム頭痛といいます。
これは俗称ではなく、ice cream headacheという正式な医学用語です。
この発生機序は今のところ2つの説があります。一つは強い冷刺激を受けると
頭の血管が急に拡張して一時的に軽い炎症がおきるという血管由来説、
もう一つは冷刺激が強すぎると冷たさを伝える神経だけでなく、痛みを伝える
神経も誤って刺激されてしまうという神経混乱説がありますが、はっきりとした
病態はまだわかっていません。どちらの説にしても5分以上は続くことがなく、
からだにも悪い影響は残らないと考えられていますので心配はありません。
この他にも食品関連の頭痛として、アルコール誘発頭痛(即時型と遅延型)、
グルタミン酸ナトリウム誘発頭痛(中華料理店症候群)などがあります。


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