女性ホルモン/生理不順
PMS(月経前症候群)
エストロゲンは女性の守護神

  女性の一生を通じて重要なはたらきをする女性ホルモン。
中でもエストロゲンは、脳、血管、肝臓、骨、皮膚、粘膜など
全身に作用し細胞の張りと潤いを守ってくれています。






q&a
Q 女性ホルモンと全身との関わりについて教えてください。

A 女性ホルモンの代表であるエストロゲンの主な生理作用は
女性生殖器の発育や機能維持が中心ですが、その他にも
下の表にお示ししました様に、日々の生体の営みの中で
保護的な作用を多く有しています。そのため長期的に見ると
閉経までの女性は男性よりも多くの病気から守られていると
言えますが、閉経期に卵巣機能が急速に低下し始め、やがて
女性のエストロゲン量は男性以下にまで減少してしまいます。
その結果、女性では閉経を境にそれまで保護されていた血管や
骨、神経などが徐々に衰え始め、種々の変化が現れます(下表)。
また短期的に見ると、エストロゲンは生理周期の中で
月経後に上昇し排卵後に減少するアップダウンを繰り返しており、
その変動が日々の体調に大きく関与しています。
生理前のイライラ、情緒不安定などはその典型例と言えます。
エストロゲンの作用 エストロゲン減少で発生しやすい病態
HDLコレステロール(善玉)の増加
LDLコレステロール(悪玉)の減少 
⇒ 高脂血症(動脈硬化)
骨の増殖促進と吸収抑制       ⇒ 骨粗鬆症
中枢神経の保護           ⇒ うつ病
免疫機能の活性化           ⇒ 膠原病(リウマチなど)
大腸癌発生の抑制           ⇒ 大腸癌
髪や肌の潤いを維持          ⇒ 肌の老化(シワ、たるみ)


Q 女性ホルモンのバランスが乱れた時の症状は甲状腺の病気と似ている
と聞きました。どのようなタイミングで何科に受診すればいいのでしょうか?

A むくみ、肌荒れ、寒がり、倦怠感、動悸、イライラ、気分の落ち込みなどは
女性の多くが日常でよく経験する症状ですが、実はこれらの不調は
甲状腺の働きに異常が出た時の症状でもあります。ただ甲状腺の場合は
生理のリズムとは無関係に症状が続いたり、徐々に症状が悪化してきたり、
次々と新たな症状が重なってきたりすることも多いので区別は容易です。
そもそも甲状腺の働きは何かというと、一言で言えば体に活力を与える
ホルモンを分泌している所です。甲状腺ホルモンは、細胞の成長を促したり、
体中の新陳代謝を活発にしたりするホルモンで、言わば元気の源です。
代表的な病気には、ホルモン不足で体に活力がなくなってしまう「橋本病」、
逆に過剰分泌されて体の代謝がきぜわしくなる「バセドウ病」があります。
どちらも圧倒的に20代から40代の女性に多くみられ、時には生命に関わる
重い病態に陥ることもあり、早期発見、早期治療が必要な病気です。
様々な不調が長引く場合は我慢しないで、お早めに内科を受診してください。

Q 27歳の独身OLです。最近、生理が近づく頃になると決まってイライラが募り、
あちこちに八つ当たりをしてしまうことが増え、自己嫌悪に陥っています。
何かよい解決策があったら教えてください。

A 生理前になると、「イライラする」「気分が沈んでしまう」「体調が悪くなる」
といった症状は、女性の約80%の方が経験していると言われており、
このような生理前の時期に現れる様々な身体的・精神的苦痛を総じて、
月経前症候群(PMS)と言います。PMSの中でも特に
心の症状が重いタイプを月経前不快気分障害(PMDD)と呼んでいます。
卵巣から分泌される女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの
2種類があり、妊娠が成立しない限りは毎月周期的に変動しています。
生理前はこのエストロゲンの減少期であり、急激な低下に伴なって
様々な脳の神経物質も減少し、機能が低下するために気分の波が生じます。
例えばやる気を起こさせるドーパミン、幸福感や心を落ち着かせるセロトニン、
認知機能を高めるアセチルコリン、注意力や集中力を高めるノルアドレナリン
などの減少で、生理前には脳全体の活性が低下して、心身に不調の嵐が
起こりやすくなります。もちろん症状の出方や程度には個人差がありますし、
同じ人でもその時の体調や年齢でも感じ方は変化します。解決策として、
症状が強い方には漢方薬やアロマセラピーが症状緩和に高い効果があります。
更に重い症状の方は、OC(低用量ピル)で生理をコントロールして治療します。

Q 毎月のPMSで苦しんでいるのに、この先、閉経して本格的にホルモンが
減ってしまう更年期になると、重い症状が待ち受けているのではと
不安な気持ちで一杯になります。どうなのでしょうか?

A PMSは月単位の短期的なホルモン量の落差によって生ずるものですが、
更年期症状は10年以上かけた長期的なホルモン量の減少に基づくものです。
従って、ある年齢から急激に減り始めるとその落差にうまく対応できず
様々な更年期障害が発生しやすくなると思われますが、時間をかけて
比較的イーブンペースで緩やかに減少した場合は、体が順応していくため、
軽くて済むかほとんどない状態で過ごせるのではないかと考えています。
私見ですが、この状態の重さを左右する因子としては40代のライフスタイルや
ストレスの係り具合が大きく関わっていると考えています。

Q 私は今31歳です。まだ更年期にはほど遠いはずですが、倦怠感など<br />
最近感じる症状が更年期症状に似ています。どうなんでしょうか?

A 卵巣機能が低下し始めるのは38歳頃からで、実際に女性ホルモンの
減少が顕著になるのは45歳以降です。この時期は
ホルモン量の低下によって様々な不調が起こりやすくなります。
ところが近年では30歳前後から40歳代前半の若年層にも
更年期症状とよく似た症状で悩む方が増え始めてきています。
これを「プレ更年期障害」(若年性更年期障害)と言います。
この原因としては過度のストレスが主な誘因と考えられており、
就職や退職、結婚や離婚、出産や育児、夫の両親との同居や
不慣れな土地での生活など、過剰なストレスが蓄積すると
ホルモンのバランスシートが崩れてきます。ホルモン量は足りてても
正常なリズムを失うことで、更年期と同じような状態に陥ることがあります。
実際の更年期では女性ホルモン量自体の減少で発症し易くなってますが、
それでも誘因はやはり、家庭のトラブルや両親の介護、夫の退職、
子供の進学や就職などのストレスがトリガーになります。
ただ「だるい」と言う症状は様々な病態で出現してきますので、
続く場合は自己判断しないで早めに医療機関を受診してください。

Q 私は42歳ですが3ヶ月前から生理が来なくなりました。もう閉経でしょうか?

A 閉経は1年間生理がない状態を指しますので、3ヶ月で閉経を疑うのは
まだまだ早すぎます。生理不順のない方が突然、無月経になった場合は、
まず妊娠してないことを確認しなければなりません。妊娠以外では
度が過ぎるダイエットや過度のストレスで一時的に無月経になることがあります。
意外と多い原因にお薬の副作用による薬剤性無月経です。
抗うつ剤、降圧剤、吐き気止めなどの一部に無月経を引き起こす薬があります。
乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)の血中濃度が高いことが原因の場合もあります。
3ヶ月以上月経が来ない場合は、その原因を調べるために
必ず女性医療に詳しい医療機関を受診してください。

Q 最近、生理周期だけでなく、おりものの様子も変わってきた気がします。
今、47歳ですが、これも更年期になる兆候でしょうか?

A エストロゲンが充分に分泌されている時は、おりものの量も多く、
透明でサラサラしたものであり、排卵期では粘度が増すのが通常です。
ところが、エストロゲンの分泌量が減ってくると、おりものの量も減少し、
色も濃くなるなどの変化が出てきます。この時期には膣の萎縮に伴い
膣の自浄作用も低下するので、膣炎にもなりやすくなっています。膣炎になると
逆におりものが増えたり、悪臭がするようになるので注意が必要です。

Q 私は43歳ですが、もう1年以上生理がなく、病院でも閉経と言われました。
毎月の生理から解放されてよかったのですが、早い閉経は特に心配ないですか?

A 一般に40〜43歳で閉経した場合を「早発閉経」と言います。
実は平均的な閉経年齢(50歳前後)よりも、かなり早い時期に閉経することは
決していいことではありません。エストロゲンは骨密度を保つ、肌に潤いを与える、
豊かな髪を保つ、血管を動脈硬化から守る、コレステロールの上昇を抑えるなど
女性の健康維持に重要な役割を果たしてくれているホルモンです。
早く閉経してしまうと、この恩恵を受ける期間がそれだけ短くなってしまうので、
老化が一気に進行します。何より骨密度の低下に大きな影響がでてきます。
ですので早発閉経の場合は、医療機関を受診していただき、50歳くらいまでは
OC(低用量ピル)かHRT(ホルモン補充療法)で治療されることをお勧めいたします。


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